春雪二題『天の花びら』


春雪二題『天の花びら』
吹雪にかすむ内堀と日本武道館(平成26年2月14日 携帯写真)
東京に大雪が降った朝、所用で九段下から北の丸公園を通り抜けた。その一角に九段会館がある。ニ・ニ六事件の舞台となった元軍人会館で、閉鎖中の寂しさに大雪と相俟って往事の時間にタイムスリップした感に襲われた。先日、この事件を描いた『叛乱』(監督: 佐分利信・阿部豊 1954年/ 新東宝)を上映したこともあってのことだろうが。

処刑前の北一輝が西田税(みつぎ)に語るセリフが忘れられない。「西田君、日本で革命は永遠にできっこないな。幸か不幸か・・・」

北の丸公園の近代工芸美術館(元近衛連隊司令部)や皇居近辺は荒涼としたモノクロの世界で、普段とは別次元の空間が広がっていた。この雪の光景は尚更として、映画で描かれた当時の政治・社会状況も、実はあの時と何も変わっていないのではないかと思われて仕方がないのである。


乱舞する淡雪すくへば如月の天の花びら雫と消ゆる
世の汚れ祓(はら)へとばかり降り止まぬ白一色の無垢なる春雪


モノクロの世界と化した北の丸公園(同)

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