【シンポ】原発の是非は知識より見識で

論争とは事実を挙げて道理を説くことである


 「とんでもない高レベルの廃棄物が大量に発生し、第一原発の事故処理は 未知の領域 に入る。どこに、どうやって、誰が保管するか何も決まっていない」
(毎日 6月16日)

左イメージ:仏原子力メーカー 
「アレバ」の汚染水処理システム

 毎日新聞が伝えた経済産業省資源エネルギー庁幹部のコメントである。何に対してのコメントか。福島第一原発で汚染水浄化処理システム(仏メーカー・アレバ社)の全体試運転に向けてである。

 放射能の汚泥が年末までに約二千立方㍍(ドラム缶で一万本)が発生する。加えて濃度は一立方㌢あたり一億ベクレルもの高レベル、他にセシウムを吸収し終えた容器(高さ二・三㍍)も一日二~四本発生する。

 これを指して経産省の幹部は「未知の領域」とコメントした。しかしながら、この試運転さえもトラブル続きで、18日現在いまだ再開のメドは立っていない。

 福島原発の事故は、震災直後において既にメルトダウンしていた。最初から最悪の事態が、今現在も進行している。汚染水の処理を含めて事故発生後4ヶ月を過ぎようとしているが、収束の見通しすら立っていない。

 「未知の領域」とは、人類が初めて経験する領域へと入ることを言う。我々は良きに付け悪しきに付け、原発事故の対処で歴史的な事態に遭遇している。 

 こうした情勢を踏まえて主権回復を目指す会は、「原発の是非を問う これからのエネルギーを考える」と題したシンポジウムを開催した。

 討論の内容は録画で収録されており、これに対する論評をこの度は差し控えることにする。各自が冷静に判断するべきであろう。
 司会で心懸けたことは偏らないのはもちろんだが、「原発の是非を巡っては保守・愛国陣営の中にも推進、反対など様々な立場がある。意見の相違を有意義な討論にするためには、それ以前に一人の日本人として日の丸を愛し、日本民族であるという自覚であって、そこから逸脱してはならない」との一致点である。

 論争とは、論を争うのであって感情を争うのではない。論とは事実を挙げて道理を説くことである。争うのは単なる知識の羅列ではなく、得た知識から物事の本質を見抜く見識である。これ見よがしの知識ではなく、見識を争うのである。
 この作法から逸脱しなければ、議論高じて口角泡を飛ばしたところで、決して感情を害して人格を傷つけ合うことなどない。

 司会者として、登壇者それぞれの見解を集約した上で


1 コスト
2 代替エネルギー
3 環境
4 安全保障
5 利権

 以上の5点に焦点絞り、シンポを進めたが時間の制限で「利権」にまでたどり着けなかった。

 シンポでは各自の見解の相違が浮き彫りとなったが、相違についての深い議論までは行けなかった。しかし、双方・各自の認識の相違などが鮮明となった。
 よって第二、第三回目のシンポジウムの開催が必要と思った。



【シンポジウム】原発の是非を問う これからのエネルギーを考える


6・10 文京区民センター|参考:http://nipponism.net/wordpress/?p=1412
(↓ 画像:クリックで拡大)

原発推進から、脱原発、反原発に至るまで、様々な見解を持つ登壇者が一堂に会した

愛国、保守運動において双方が議論を闘わすことは滅多にない

シンポジウム主催者として司会を担当

永井清之氏(原発推進派:最年長68歳 京都大工学部卒)

電力料金の大幅上昇による国内産業への打撃、石油価格の高騰、核関連兵器への転用が閉ざされる可能性等々を勘案し、原子力に代わる動力源は無いと考える。停電そのものは大して怖くない。戦後20年~25年くらいまで停電は日本全国で殆ど毎日。それでも日本人はパニックにも陥らず、晩飯を早く済ませるとかロウソクを買い込むなどして対策。経済と安全保障の観点から推進します。原子力に代わる動力源はなく、損得で言えばこれを否定すると電気料金が大幅アップする。


八木康洋氏(原発維持/推進派:在特会副会長であるが個人の資格で登壇)

原発は過去も現在も将来も安全。悪いのは菅政権。東電の対応は基本的に間違っていない。安全保障の観点から、原発と同時に代替エネルギーも推進すべきと考える。原発は今もこれからも安全である。原発爆発は事故ではなく事件であり、悪いのは菅直人首相はじめ民主党政権である。反原発デモは極左だとして、在特会の対抗行動を陣頭指揮してきた。


松本英志氏(反原発/過渡期派:主権回復を目指す会)

原子力は、一方では動力源、もう一方では軍事兵器。中共や北朝鮮という危険な核保有国が存在しており、核兵器を感情的に否定はできない。一切の感情を抜きに包括的な観点から、具体論として原発問題を提言していきたい。

大別して兵器と動力として利用されてきたのが原子力の歴史であり、私としても感情的には(原発を)否定したいが、そうではなく建設的に意見交換を進めるためにコストはどうか、代替エネルギーは可能か、環境と安全保障そして産業の観点から何故必要なのか、何故不要なのかを提言し続けたい。


野村旗守氏(脱原発/過渡期派:ジャーナリスト)

経済と安全保障の両面から原発保持の立場であったが、今回の事故を見て、原発は人間の手に負えないという認識に至った。代替エネルギーへの移行を真剣に考えるべきではないか。全国的に盛り上がる反原発デモだが、決して極左が主導しているわけではない。彼らは逆に大衆の中に埋没している。


瀬戸弘幸氏(原発被害当事者:福島県民)

原子力の可能性を信じてきたが、現実問題を考えると受け入れる地域が日本にはもう無い。推進は無理だ。現状維持が妥当。

しかし必要です。原発を即座に無くすと約二十年前に逆行することは避けられませんし国際競争からも大きく脱落する。従って現状のままで構わない。それには条件がある。電力会社の国有化と安全に関する厳しい罰則が必要と考える。何かあれば国が全面的に責任を持つ。

 

【動画】シンポジウム「原発の是非を問う これからのエネルギーを考える」

youtube
http://www.youtube.com/playlist?p=PL61C6268E45A0A9A3

ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14722987

ustream
http://www.ustream.tv/recorded/15282744

 

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