今を遡る73年前、昭和20年8月6日、米国は史上初めて広島に原子爆弾を投下した。当時、我が国の制空権は皆無に等しく、戦闘の能力は壊滅の状態であった。
戦争終結はもはや時間の問題であった。にもかかわらず米国は実験目的(破壊効果の実証)ただそれだけのために原爆を使用した。しかも広島が阿鼻叫喚の巷(ちまた)と化しているその最中の9日、長崎へと立て続けに投下した。これ以上の悪魔の所業が他にあるだろうか。
【日本人を「けだものとして扱うべきだ」(トルーマン大統領)
原爆投下は軍事上の戦闘行為ではなく、民間人という非戦闘員を対象にした。広島だけで推定人口およそ35万人のうち14万人にも及ぶ一般市民を、長崎おいては推定人口24万人のうち7万を瞬時に焼き殺した。被爆後5年間の累計では広島で20万人、長崎で14万が、さらにその後の追跡調査では、定かな死者数は永遠に確定できないほどである。特に広島においては、行政機関と公文書が原爆で破壊・焼き尽くされ、また身元、性別の判明できぬまま埋葬されるなど、戦後72年経った今も約5万人の氏名が行方不明のままである。世界史においてこれほどのおぞましい殺戮行為は他に無い。
とりわけ、広島での原爆の投下時刻は「午前8時15分」・・・言うまでも無く学校への登校時間と、勤労国民の出勤時間を狙ったのだった。しかも、一旦は発令されていた空襲警報を解除させ、意図的に人的被害を拡大させる状況を作り出した上での投下であった。実に残酷な仕打ちである。
これは無辜の老婦女子の無差別殺戮を主目的とした、まさに悪魔のみが為せる業(わざ)で鬼畜の所業に他ならない。米国が犯してきた数々の戦争犯罪の中でも、特筆すべき最大にして最悪の『人道に対する罪』として人類史に刻印すべきで、未来永劫、消し去られることは無い。
1945年8月9日、米国キリスト教団体はトルーマン大統領宛に電報で「見境のない破壊行為」に憂慮を表明した。これに対し、大統領は書簡で「けだものを相手にせねばならないときは、けだものとして扱うべきだ」として恐るべき暴言を吐いた。
【原爆投下を空から降った雨か雪に】
この「けだもの発言」をはじめとして、今日に至るまで、米国は一言たりとも我が国に対して謝罪の言葉を発していない。それどころか、「戦争を早期に終結させるための正当な手段であった」と未だ開き直った詭弁を弄している。
先般、広島を訪れたオバマ大統領は、「71年前、晴天の朝、空から死が降ってきて世界が変わりました」と。一瞬にして10万人以上の民間人を焼き殺した悪魔の所行である原爆投下を、「空から降ってきた」と、あたかも自然現象の雨か雪のように表現した。米国の投下責任を、天候という自然現象にすり替えたのである。
【真のホロコーストとは原爆投下と無差別爆撃だ】
米国の犯罪は何も原爆投下ばかりではない。東京大空襲をはじめとする、焼夷弾による無差別爆撃こそ、第二次大戦における文字通りの大虐殺に他ならない。ナチスによるユダヤ人大虐殺を、ホロコーストと形容するが、ホロコーストの本来の意味は、ユダヤ教の儀礼における、生贄ならぬ焼き物の供物を言うのだから、米国の焼夷弾による無差別爆撃こそ、ホロコーストと呼ぶに最もふさわしい。米国は日本人を「けだもの」(トルーマン大統領)として焼き殺したのである。
米国・ワシントンにはユダヤ人の虐殺を記念する「米国・国立ホロコースト記念博物館」があり、ヒットラーの犯罪を鋭く追及して己の人道主義を賛美している。
それならば、米国に課せられた戦後の最大使命とは何か。それは己が自画自賛する人道主義に基づいて、「米国・国立ホロコースト記念博物館」に原爆投下と日本大空襲の展示を設置することに尽きる。この展示を世界が絶賛するのは間違いないと、トランプ大統領とウィリアム・ハガティ大使に進言する。
米国は早くから、安倍晋三首相の「戦後70年談話」へ、先の大東亜戦争に対して日本の真摯なる謝罪と、「侵略戦争」に対する痛切な反省を盛り込むよう執拗な強要をした。米国追随の安倍首相はこれを受けて「痛切な謝罪と反省」を示した。しかし、「痛切な謝罪と反省」を示すべきは、人類初の原爆投下と日本をけだものとして焼き殺した米国であろう。
【占領軍として未だ居座る米軍】
世界史に銘記されるホロコーストを演じたその米国は、講和条約締結という戦争終結後の今も、なお在日米軍の名を騙(かた)り、「日米安保条約」「日米地位協定」の名の下、占領軍として沖縄をはじめとして我が国に多数の軍事基地を張り巡らしている。
とりわけ、米軍横田基地は首都圏上空を完全に航空管制下に敷き、我が物顔に飛び回る米軍機に日本政府は手も足も出せないでいる。危険な米軍基地は何も普天間基地ばかりではない。最も危険で、最も航空輸送に障碍となっているのが米軍横田基地である。首都圏上空が外国の軍隊よって制圧されている国家が世界の何処にあるだろうか。
米国は日米の貿易不均衡是正と称して米国製兵器の大量購入を押しつけている。有償軍事援助(FMS)と称して、価格も納期などすべて米国の言いなりを飲む一方の契約だ。世界にこれほどえげつない押し売りがあるだろうか、暴力団が一般市民を脅かす構図と何ら変わりはない。
【軍事の独立なくして主権国家はあり得ない】
我が国の安部首相もそれに唯諾々と従う醜態をさらけ出している。トランプ大統領はそれをして、「日本は兵器の大量購入で米国の兵器産業の雇用促進に大いに貢献している」と訪日した際に、安部首相に嘯(うそぶい)た。なんたる屈辱であろうか。
軍事の独立無くして国家主権の確立はあり得ない。日本は戦後73年、自衛隊は米軍の従属化に組み込まれ、残念ながら、独立国家として軍隊の体を為していない。悪魔の所行を行った米軍が、占領軍として未だ居座るこの現状を放置することは日本民族の恥以外の何ものでもない。
我々日本国民は、ここに改めて米国政府に対し強く要求する。