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忘れるな!6年前 自民党主催「主権回復記念式典」のまやかし

忘れるな!6年前、自民党主催の 「主権回復記念式典」のまやかしを 「主権回復記念式典」の検証 4月28日は「国恥」の日であり、主権回復「祈念日」が相応しい 【絶えて久しい4月28日の「主権回復記念日」】 自民党や保守派が大々的に行ってきたもので、絶えて久しいイベントがある。毎年4月28日に行っていた「主権回復記念日国民集会」という行事がそれである。 これは昭和26年の秋に、サンフランシスコ講和条約が調印され、翌年の27年の4月28日にそれが発効することによって、連合軍による占領が終了し、日本が独立を回復したということによる。 それが、今から6年前の平成24年4月28日、自民党が憲政会館で主催した「主権回復記念式典」を最後にそれっきりとなっている。 「主権回復を目指す会」は、文字通り現在の日本には主権が存在しないとの立場であるから、この政府主催の式典に反対の一水会や統一戦線義勇軍、大悲会、野村秋介思想研究会と共に新橋を基点にしたデモ行進(平成24年4月28日)をおこなった。 この時、各団体ならびに幾つかの民族派はそれぞれの観点から議員会館、首相官邸前で抗議を行った。式典に天皇陛下をお招きするという政治利用が物議を醸し出し、沖縄県民を始めとして猛烈な抗議を引き起こした。そのせいだろう、自民党はその後、今に至るまで4月28日の「主権回復の日」をスルーパスに徹している。 ※参考:「主権回復式典」の中止を!(主権回復を目指す会)     http://nipponism.net/wordpress/?p=21917 【紛糾と反発のなかで強行された式典】 陛下がご臨席される憲政会館での式典を前にして、主権回復を目指す会は党本部前で対米従属を放置したままの4月28日は主権回復の「祈念日」か、でなければ「国恥記念日」が相応しいとの街宣を展開中であった。一水会の木村三浩代表も同じく、議員会館前でハンストの抗議行動を展開していた。 沖縄県を始め何と21の県知事が政府主催の同式典を欠席した。これだけでも式典は体を成していなかったのだ。さらに民主党の海江田万里代表、公明党の山口那津男代表は出席したが、日本維新の会、みんなの党、社民党、共産党などの党首は欠席した。特に沖縄では、県民を挙げて式典への抗議集会までが行われた。 国民の総意を体現し、国家の象徴たる天皇陛下のご臨席を仰ぐにあたって、これほどの紛糾を伴い且つ国民の反発を伴った式典はなかった。取りわけ、沖縄県に対する思いの厚い天皇陛下におかれて、そのご心中たるや如何ばかりか。そうしたなかで、自民党は式典を強行したのである。 その何よりの証が、ご臨席された天皇、皇后両陛下の表情に笑みの欠片さえ窺えなかった。それは8月15日、日本武道館で開催される「戦没者追悼式典」にご出席される際の表情そのものであった。天皇陛下にとって、4月28日は主権を喪失したままの日本を憂える「追悼式典」だったに違いない。その苦渋に満ちた表情に、臣民として心を痛めずにはおられない。 【天皇陛下に「万歳」を浴びせた蛮行】 式典会場では、安倍首相らが「万歳」を唱和した際、天皇陛下のお顔は堅く緊張され、皇后陛下におかれては終始うつむかれたままであられた。天皇陛下からはお言葉のお一つもない異例の式典だった。 お招きした会場は憲政記念館という極めて狭い会場、顔と顔を突き合わせる至近距離から、陛下に対する「万歳」は唱和などではなく、罵声にしか響かない。想像力を欠く、何という不敬を働く安倍政権と自民党議員たち、保守派であろうか。 彼らの不敬は、不敬の次元を越えている。天皇陛下に対して蛮行を働いたのである。万死に値する所業だ。何処まで愚かを演ずれば気が済むのか、自民党と保守派は恥を知れ! 終始俯かれたままの皇后陛下をよそに、独りよがりの「万歳」に興ずる安倍政権 (2013/04/28 憲政記念館) そこで目についたのが自民党のなかでも愛国保守を標榜する参列者だ。山谷えり子(参議院議員)、 西田昌司(参議院議員)、小池百合子(衆議院議員)、木内実(衆議院議員)、高市早苗(衆議院議員)、平沼赳夫(衆議院議員)、稲田朋美(衆議院議員)、西村眞悟(参議院議員)の各議員らだった。 安倍政権はこの「主権回復式典」の胡散臭さを十分認識した上で、同式典を権威付けさせる為に天皇陛下を政治利用したのである。歴代、これほど天皇陛下に不敬を働いた政権は安倍政権をおいて他にない。 ※参考:天皇陛下に「万歳」を“浴びせた”不敬!     http://nipponism.net/wordpress/?p=22244 【保守派が叫んだ「民族左翼」とは?】 しかも、自民党とチャンネル桜などの保守派は憲政会館前で、天皇陛下のご心中に配慮するどころか、「万歳」まで叫んで”奉迎”した。ああ、何たる想像力の欠如か。ただただ嘆息するしかない。このチャンネル桜について言えば、同チャンネル代表の水島総氏が放送で、4月28日の「祝日化」に反対する我々を指して「民族左翼」という造語を発したことがあった。 【水島総】戦後レジーム打破!尖閣防衛・東北復興・主権回復[桜H24/4/23]      http://www.youtube.com/watch?v=0cLVlwfDv2w 内容は水島総氏による主権回復記念日の「祝日化」に関しての見解だ。同氏は自民党本部で開かれる「祝日化」の集会に反対する連中と称して「民族左翼」なる造語を口にし、「インターネットを通じて妨害、邪魔しようとする連中を許さない」などと語っていた。 連中とは何処の誰かが不明、「妨害、邪魔」並びに「許さない」にも具体性が皆無であるが、自民党本部前で「主権回復記念日」を批判街宣していたのは弊会ばかりであった。「民族左翼」とは我々のことだろう。評論家の井尻千男氏らも隣に臨席して、「妨害、邪魔しようとする連中を許さない」との言辞に相づちを打っていた。 「事実を挙げて、道理を説く」ことを行動の指針とする弊会としては、我々の言論・主張におけるどの部分を以って「民族左翼」と称されたのか、そもそも「民族左翼」の定義とは何であるのか、疑念を抱かざるを得なかった。 故に、「主権回復記念日国民集会実行委員会」の代表者である井尻千男氏には公開質問状(平成25年4月1日)を送付したが、梨のつぶてのまま無視された。その後、同氏は他界されたので回答は得られないままである。しかし、水島総氏にはその説明責任は未だ残されている。 【なぜ?反対するのか「主権回復記念日」】 我々は主権回復を目指す会はこの4月28日を祝日化する動きが明確になった平成20年から、自民党本部前で定期的に反対運動を行っていた。 「わが国は昭和27年4月28日をもって主権を回復したがそれは形式的なもので、講和条約締結と同時に発効した『日米安全保障条約』とそれを補完する『日米地位協定』で実質的な国家主権を喪失したまま今日を迎えている」という趣旨である。 … 続きを読む

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西村眞悟の「原発安全カルト」

西村眞悟(参院議員)の 「原発安全カルト」 水素爆発も西村眞悟議員によればわが国原発の「安全性の証明」なのだ 水素爆発の一瞬、海に浮かぶ福島第1原発に魚雷が命中したような光景だ (福島第1原発3号機 平成23年3月12日) 西村眞悟参院議員のメルマガが転送されてきた。『武士の一分を貫いた平沼赳夫先生とあの程度の小泉氏』(2013年11月5日)と題した一文で福島第一原子力発電所の件について触れている。このなかで、同議員は原発推進の立場を主張している。反・脱又は推進の是非についてここでは論じないが、西村眞悟議員の見解には首を傾げる以前に、現実を無視か事実を意図的に歪曲していることに驚く。 これ(使用済み燃料)を再処理し安全性を高めて最終処分する技術は既に確立されている 東日本巨大地震に伴う福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電における我が国の技術力の「安全性の証明」でもあったのだ あれほどの、大災害の中でも、死者、犠牲者は、一人もいないではないか。放射能の故に健康障害を起こした人もいない いちいち論じられないが、大まかにいえば二つの点を挙げられる。 ↓ その一つ、「再処理し安全性を高めて最終処分する技術は既に確立されている」 事実は全く異なる。 六ヶ所村は原発の運転によって発生する低レベル廃棄物(黄色いドラム缶など)を埋め捨てて最終処分する施設。「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」は、フランスやイギリスに委託した海外再処理(全体で約7100トン)によって発生した廃棄物を一時的に貯蔵している。現在はフランスへ委託処理、日本に返還輸送された高レベルガラス固化体を保管しているだけだ。従って、わが国には独自に再処理する技術などない。又最終処分に関しても未だその受け入れ先がない。それ以前に、2010年の本格稼動を予定していたにも関わらず、相次ぐトラブルで試運転すら中断したままである。これが現状事実である。それを「技術は既に確立」しているなど、国会議員として戯言では済まされない。 その二つ目だが、福島第一原子力発電所の事故は「死者、犠牲者は、一人もいない」 何と、それは「安全性の証明」であるとまで言い切っている。 車の走行中にブレーキ故障、ハンドルの破損で大事故を起こしたが、幸い人身事故には至らなかった。この故障した自動車を「死者、怪我人が一人も出なかった」から安全だという人間がいるだろうか。 ビルの工事中に、設計・管理ミスで建物が一気に崩壊した。幸い夜間だったから「死者、怪我人が一人も出なかった」からこの工事は安全だという人間がいるだろうか。まともな人間なら言うはずがない。 幼稚園の園庭が日中、突然陥没した。たまたま日曜日だったので園に子供らがおらず、「死者、怪我人が一人も出なかった」からこの幼稚園は安全だという関係者は一人としていないだろう。 福島第一原発は敷地内に設置された汚染水タンクから、事あるたびに汚染水が自然界に垂れ流されており、それを止める手立てすらない。そうした状況下で、「死者、犠牲者は、一人もいない」から、わが国原発の「安全性の証明」と言う輩がいるだろうか。国会議員だからと言ってこんな戯言、無責任が許されて良い訳はない。 以上、世間ではこれらの大事故を安全と吹聴する輩を「バカ」の一言で表現する。国会議員が「バカ」であってはならない。 世界を震撼させた福島第一原発大事故を、「死者、犠牲者は、一人もいない」から安全だ?!ここまで来るともはや議論が成立しない。こうした議員には「原発安全カルト」のレッテルこそが相応しい。 (↓ 画像クリック拡大) 六ヶ所村原燃PRセンターは素晴らしい環境下にある(平成23年8月28日撮影) フランスと日本を往復する使用済み燃料の運搬船「六栄丸」の模型。 長さ100㍍ 幅16.5㍍ 使用済み燃料輸送容器最大20基積載、 「六栄丸」に思わず笑ってしまう。六ヶ所村が栄えるどころか「六亡丸」が相応しい? (同日、同センター) このような形で船倉に20基の使用済み燃料輸送容器が船積みされる(同) これと同じ形のドラム缶で猛毒の核廃棄物を地下300㍍に保管するが、 二万年後まで誰がどうやって管理するのか(同) ←絶滅を免れた日本人を一人でも増やす為にクリックを!

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主権は一切関知せず

 告知 <主権は一切関知せず>  主権回復を目指す会並びに代表の西村修平は、槇泰智(政経調査会)とは公私に亘り如何なる関係にもありません。 同じく、当会と西村修平は槇泰智(政経調査会)が呼び掛けるなどの講演会や集会、デモに対しても一切の関わりはありません。 http://makiyasutomo.jugem.jp/ http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53003478.html ↑ 上記シンポで、西村修平に関して登壇云々又は「交渉中」とあるのは、槇泰智の手前勝手な妄想であり、自作自演です。 西村修平は槇泰智とは公私に亘って一切の関係を断ち切っています。同じく主権回復を目指す会は槇が主催又は彼が関係する運動並びに活動には一切関わりを持たない旨を明らかにしておきます。 平成25年10月26日      主権回復を目指す会 代表 西村修平 ←絶滅を免れた日本人を一人でも増やす為にクリックを!

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東京オリンピック一考

東京オリンピックを歓迎する 日本と首都再生の好機 首都高速の改修で日本橋に大空を取り戻せ 2020年のオリンピック東京開催にあたって安倍首相のプレゼンティションに様々な評価と批判がマスコミを賑わしている。 このなかでは汚染水垂れ流しなど、福島第一原発の事故処理が収束できていない状況下でオリンピックの開催資格があるか否かが取り沙汰されている。また、開催に向けた都市作りとインフラの改修が具体案として挙げられている。 【オリンピック開催と原発事故を混同するな】 安倍首相は汚染水の自然界流出について、「状況はコントロールされている」「港湾内で完全にブロックされている」とIOC総会で堂々と言い切った。現場を知っている側からすれば、安倍首相の演説はよくもまあ、あれだけ白々しく“嘘”をつくものであり、地元の漁民や農家の立腹は激しい。聞く方のIOC委員も事情に疎いのかどうか知らないが、“嘘”を知っていて東京開催に投票したのではと勘ぐってしまいたくなる。 事実を覆い隠した嘘は嘘で糾弾しなければならない。しかし、福島第一事故の可及的速やかな収束はオリンピックの開催とは関係なく、国家が取り組む喫緊の最重要課題であることには変わりない。 【国際公約を発した安倍首相】 「事物は一定の条件で対立する側面へ転化する」 これは矛盾論で言う「対立面の統一」という。 安倍首相の演説を矛盾論の観点から捉えれば、IOC総会で発言したことによって、彼の嘘が世界では“真実”に転化した。放射能汚染など、福島第一原発事故は「安全・安心」であると真実を世界に発信したのである。これは日本人を相手にした選挙公約ではなく歴とした国際公約そのものである。 「安全・安心」という“嘘”に安倍首相はこれから拘束・縛られる。我々は安倍首相を拘束・縛って、「安全・安心」だとするその“嘘”を実現させなければならない。 7年後の開催に向かって、演説での公約に安倍首相と日本は縛られ、その公約を実現しなければならない国際的使命・義務を担った。アルゼンチンで発した国際公約が、7年後の2020年に東京で検証される。もっとも、安倍政権がその時に健在かどうかは知る由もないが。 【首都機能再生の好機】 一方、首都機能と相容れなくなった前近代的なインフラは、長年議論のみの終始で改修は着手の目途すら立てられないでいる。例としてあげれば、遺跡のような首都高速の改修、日本橋を覆う醜悪な首都高の撤去、羽田空港の国際化、電柱の地下埋設などなどだ。今回のオリンピック開催はそれらに着手するまたとない契機となる。 大地震などで東京が灰燼と化すようなことでもなければ、首都のインフラを整備する機会はもうないだろう。7年後の東京オリンピックは絶好の機会である。その機会に、それらのインフラ改修が成し遂げられれば、途轍もない国力のパワーアップに直結するのは疑いない。 好機を好機のまま眺め見過ごすのか、好機を首都再生と日本の活力アップへ飛躍させるのかは、偏に日本民族の総力にかかっている。 【日本橋に大空を取り戻せ】 歌川広重は『東海道五十三次』の江戸出立で旅の開始に日本橋を描いた。この日本橋は広く海外に、日本の顔としてのイメージを定着させた。オリンピックで東京に訪れた海外の人らに、「日本橋は何処に?」と聞かれたら返事のしようがない。今の日本橋は首都高の古びたコンクリートが覆い被さり、暗渠と化している。日本の恥をさらしているようなもので、歌川広重は泣いているだろう。今回、その恥を撤去するまたとない機会が訪れた。それは東京オリンピックである。 世界に知られた、在りし日の日本橋 (歌川広重『東海道五十三次(日本橋)』) ↓ 東京の恥をさらす今日の日本橋 (写真転載:サイト「日本橋川・亀島川・隅田川の徒歩と舟の旅」より)   ←絶滅を免れた日本人を一人でも増やす為にクリックを!

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釈然としない賛美と“英雄論”

吉田昌郎(元福島第1原発所長)の死に思う 何の解決にもならない吉田元所長の賛美と“英雄論” 福島第1原発の元所長だった吉田昌郎氏がガン治療の効およばず亡くなった。7月9日没、享年58才。 東電が執り仕切った葬儀などにあたって、「電力マンの誇り」(読売新聞)「この国を救った」(週刊現代)など、多くの賛美と“英雄論”が語られている。 事故の収束に力を尽くした東電社員の死に対し、哀悼の意を示すものである。その上で、これら吉田元所長への賛美と“英雄論”に何か釈然とせず、腑に落ちないものがあり、それが思考の中で消化不良を起こしているのである。 吉田昌郎氏は福島第1原発の元所長であり、且つ東京電力株式会社の執行役員も兼ねていた。福島第1原発には6基の原子炉がある。事故があれば、日本を壊滅できるのが福島第1原発だ。従って、所長には相当の権限が与えられ、また有していた。 この原子炉を軍艦に例えれば、吉田元所長は6隻の軍艦を束ねる艦隊司令に相当する。艦と運命を共にする命をうけている。艦隊司令はいわば職業軍人であり、東電に徴兵されたのではない。あらゆる敵の襲撃に備え、艦の安全と乗組員の生命を守るために、艦隊司令には、これらの事態に対応する能力が求められる。艦隊司令とは能力に対するステータスであって、形式的な名誉職ではない。艦艇一隻の沈没で日本は沈まないが、福島第1原発では1基の原子炉爆発で日本を沈めることが出来る。所長たるやその任務、使命は途轍もなく重いし、有する権限もそれに相当する。 この観点から、福島第1事故と吉田元所長の対応を考えてみたい。 水素爆発の一瞬、海に浮かぶ福島第1原発に魚雷が命中したような光景だ (福島第1原発3号機 平成23年3月12日) 平成23年3月11日、津波の襲来で福島第1は全電源喪失、線量増加、注水不能、水素爆発などなど…、最悪の事態に遭遇した。そして、吉田元所長を始め現場の作業員らは死をも覚悟し、懸命の事故処理にあたった。危機的状況でベストを尽くした業績を否定するものではないが、プロとして当然の職務を遂行したまでのことであり、それ自体が特別な賞賛に値するわけではないだろう。賞賛されるのは、海水の注入など、最悪の事態という局面における対応ではなかったのか。それでもなお、原子炉はメルトダウンを免れなかった。危険レベルの設定は別として、最悪の事態を招いたことに変わりはない。 津波を敵の魚雷攻撃だとしよう。この魚雷攻撃に24時間、365日に亘って備えるのが艦隊司令である吉田元所長の任務であった。言うまでもなく、福島第1原発は海に面している。つまり、海に浮かんでいると言って良い。何時、魚雷の襲撃を受けても不思議ではない。仮に魚雷攻撃の被害を受けたとしても、損傷のレベルに応じて対応する備えがあって然るべきだ。 残念ながら、“福島第1艦隊”は1撃の魚雷攻撃で壊滅した。全電源喪失、線量増加、注水不能、水素爆発などなど、さらにあれもない、これも不足のお手上げ状態。津波という魚雷攻撃が、艦隊司令には全くの「想定外」だった。早い話が備えがなかったのである。 今さら言うまでもないが、福島第1の事故は未曾有の惨事を呈し、その後の事故処理は進展をも見せないまま未だ収束していない。それどころか、放射能汚染水は垂れ流しのまま打つ手立てすらない。メルトダウンした原子炉からは高濃度の放射性物質が自然界へ放出され続けている。これらは日々刻々、眼前に呈する惨状である。これは他の誰でもない、吉田元所長の下で起きた事故だった。軍事作戦ならば、吉田元所長は艦隊司令として敗軍の将といえる。その敗軍の将をどうして賛美し、英雄視できようか。 この眼前に呈する惨状には、事故を招いた責任者がいなければならない。未曾有の惨事を引き起こした事故に責任者が誰もおらず、しかし“英雄”は存在する。これも不可解極まりない話である。 死という事実に、人は誰しも畏敬の念に服してしまう。しかし、それを逆手に取った東電による吉田所長への賛美と“英雄論”に左右されては、所長本来の使命並びに任務のあり方がぼかされ、電力利権集団に物事の本質が歪められてしまう。 何もことさら、吉田元所長を敬う世論に逆らう訳ではない。しかし、彼の死を賛美し、英雄視したとしても「汚染水レベル3」などの危機的状況を打開する上では何の解決にもならない。 【参考】 ①声明文「『警察官の手本』という不可解-鉄道自殺は犯罪である-」  http://shukenkaifuku.com/past/shuchou/19_2_14.htm ②『吉田元所長、お別れの会』  http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130823-OYT1T00905.htm ③吉田元所長、お別れの会  東電・吉田昌郎(元福島第1原発所長)さんへのレクイエム  門田隆将  http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36525 ▼写真提供:脱原発デモカメラマン・秋山理央氏  ねばり強く継続する「8・27右から考える脱原発デモアフター5in銀座(vol.22)」 (8月27日、有楽町マリオン前) 関電東京支店に向かって「大飯原発の再稼働を止めろ!」 (同日、関西電力・東京支店前) 美しい山河を守る活動は政治思想の違いを越えた最大の愛国運動だ (同日、銀座通りにて)   ←絶滅を免れた日本人を一人でも増やす為にクリックを!

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